『生産性―――マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの 』のレビュー

本・歴史の話のアイキャッチ

内容紹介(Amazonより)

いまの「働き方改革」において、最も重視されるべきは生産性である。
かつて日本企業は生産現場での高い生産性を誇ったが、ホワイトカラーの生産性が圧倒的に低く世界から取り残された原因となっている。
生産性はイノベーションの源泉でもあり、画期的なビジネスモデルを生み出すカギなのだ。
本書では、マッキンゼーの元人材育成マネージャーが、いかに組織と人材の生産性を上げるかを紹介する。

出典:https://amzn.to/2xn7iEE

レビュー

ファーストブックとして最適

本書は世界屈指のコンサルティングファームであるマッキンゼー・アンド・カンパニー(以下、マッキンゼー)に人事マネージャーとして勤めていた著者が「リーダーシップ」と並び同社スタッフの特長と挙げた「生産性」についてまとめたものです。

序章には「軽視される生産性」とありますが、本書の効果もあり、日本でも「生産性」に注目が集まるようになってきました。

本書では生産性を「得られた成果/投入した資源」とし、生産性が上がることがスタッフの成長であるとしています。

誤った生産性の向上法

本書の面白いところは、世間にはびこる誤った生産性向上法にも鋭い指摘をしていることです。

生産性の話題が新聞や雑誌、ネット上のコラムなどで掲載されることも多くなってきました。その中で、「○○時に強制的に退社させる」「会議は立って行う」などで、労働時間の短縮を図った事例が紹介されています。

しかし著者はこうした工夫に対しては時間の短縮にはなるが、生産性を上げる方法ではないと喝破します(本書69頁)。

例えば今まで2時間だった会議が、何らかの工夫により1時間になったとしましょう。しかしそれにより、今まで2つの議題をこなしていたものが、1つしか対応できなくなったら、それは生産性が高まったとはいえません。
こうして考えると、生産性の向上に貢献していない施策が世に出回っていることがわかります。

このように、生産性を考えていく上で押さえておかなければならないことを、本書は丁寧にまとめています。「これから生産性の向上に取り組んでいきたい」と考えている方のファーストブックに最適な本だと言えます。