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デジタル・トリプレット(Degital Triplet)とは何か?

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デジタル・トリプレット(Degital Triplet)とは

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デジタル・トリプレットの概念図

デジタル・トリプレット(Degital Triplet)とは、実世界と情報世界、知識・モデル世界を融合させ、人の知的活動を積極的に活用する仕組みのことです。
デジタル・トリプレットという名前のデジタルというのは「電子」を表しますが、トリプレット(triplet)というのは「三つ組」「三つ子」を意味します。
つまり、デジタル・トリプレットを直訳すれば「電子の三つ組」や「電子の三つ子」というものになりますが、これは「実世界」「情報世界」「知識・モデル世界」の3つの世界を融合した状態を表しています。

なぜデジタル・トリプレットは必要なのか?

なぜ今デジタル・トリプレットが注目されているのでしょうか。
その理由は「国際競争力の低下」「少子高齢社会」「Society5.0」という3つのキーワードで紐解くことができます。
日本は「モノづくりの国」として一時はジャパンアズナンバーワンとまで言われましたが、近年国際市場での競争力を失ってきています。
さらには少子高齢社会でモノづくりの担い手がいなくなり、市場のニーズも消費者の高齢化に伴って変わっていくとされます。
この経済的な停滞と社会の変化に対応するため、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)を作ろうとするSociety5.0(ソサエティ5.0)が政府から提唱されています。
このSociety5.0を製造現場で実現する仕組みがデジタル・トリプレットです。

サイバー・フィジカル・システム(CPS)と現場や人の知の融合

上述の通り、デジタル・トリプレットは実世界と情報世界、知識・モデル世界の融合とされていますが、実世界と情報世界を組み合わせたサイバー・フィジカル・システム(Cyber Physical Systems、CPS)と人・現場の知の融合と捉えることもできます。
ここで、サイバー・フィジカル・システムと人・現場の知の中身を見ていきましょう。

サイバー・フィジカル・システムとは

サイバー・フィジカル・システムとは、実世界(フィジカル空間)にあるデータや画像などの多様な情報をコンピュータに取り込み、コンピュータ内の仮想空間、つまり情報世界で分析・知識化を行い、製造現場の効率化や生産性の向上を図る仕組みのことです。
日本のみならず、「どの程度材料を購入するか」「どのように作業員を配置するか」というような生産管理は製造現場の経験と勘に頼ってきました。
しかし、サイバー・フィジカル・システムでは、経験と勘に頼らず、これまでのデータから適切な生産管理をしていきます。

人・現場の知

デジタル・トリプレットがつなげる「人・現場の知」というのは、文字通り作業現場で働く作業員によって培われたノウハウのことです。
日本では「カイゼン」と呼ばれるような製造現場が自主的に行う改善活動が特徴とされていました。
デジタル・トリプレットはこうした現場の知識をサイバー・フィジカル・システムに導入していきます。

デジタル・トリプレットは日本版インダストリー4.0なのか?

デジタル・トリプレットとインダストリー4.0

デジタル・トリプレットとインダストリー4.0

デジタル・トリプレットを日本版インダストリー4.0と捉える人もいます。
IT技術を活用したり、生産性の向上を目指すという側面については確かにデジタル・トリプレットとインダストリー4.0は似ているところがあります。
ここでインダストリー4.0を概観しながら、その相違点を明らかにすることで、デジタル・トリプレットの特徴をより鮮明にしていきましょう。

インダストリー4.0(Industry4.0)とは

インダストリー4.0(Industry4.0)とは、簡単にまとめるとIoT(Internet of things)技術の製造業への適用です。
IoTとは「モノのインターネット」と訳され、インターネットを介して様々なモノをつなげていく技術です。つまり、インダストリー4.0というのはインターネットを使って工場の中の様々な機械をつなげ、効率よく、生産性の高いモノづくりを実現しようとするものです。

なぜインダストリー4.0が始まったのか

ドイツではこのインダストリー4.0を推し進め、新しい製造業の姿を模索しています。
ではなぜドイツはインダストリー4.0を始めることになったのでしょうか。
その理由は日本がSociety5.0、ひいてはデジタル・トリプレットをスタートされたものと似ています。
自動車のフォルクスワーゲンやBMW、電車から家電まであらゆる事業を展開するシーメンスに代表されるように、ドイツも日本と同じくモノづくりの国と言われてきました。
しかし、そのドイツの製造業もニーズの変化や脱原発による今後の電気代上昇の予想により転換を余儀なくされています。
そうした中で白羽の矢が立ったのが、近年急成長したIoT技術であり、この技術をつかってドイツはインダストリー4.0をスタートさせました。

デジタル・トリプレットは人が中心

情報技術により製造業を活性化させるというのはデジタル・トリプレットもインダストリー4.0も共通しています。しかし、その中心となるアイデアが異なります。
インダストリー4.0はIoT技術によって、製造業を効率化させ、コスト削減や省エネルギー、生産性の向上を目指しています。
一方で、日本のデジタル・トリプレットはカイゼンにみられるような人の知的活動を支援することに重点を置き、人が設計や開発などの知的労働に集中することを目指しています。さらには、デジタル・トリプレットの実現による効率の良い働き方や、多様な技術への習熟によって作業員の労働の質(Quality of Working)も高まるという効果も期待されています。

デジタル・トリプレットの課題

デジタル・トリプレットのアイデアはまだ誕生したばかりで、この仕組みを体現した実例というのはまだありません。これから日本がデジタル・トリプレットを採り入れていくためには、インダストリー4.0が抱えているような様々な課題をクリアしていく必要があります。
最後にデジタル・トリプレットの課題を挙げていきます。

使いやすいIoT技術の誕生

インダストリー4.0では中小企業でも導入できるような、モジュール化されたIoT技術が待たれています。
IoT技術は近年急速に発展してきたというものの、まだまだ導入には莫大な費用がかかります。そのため、中小企業の多いドイツではコストがインダストリー4.0のネックになっています。
こうした状況を打破するためには、ある程度技術がまとまり、安価にモジュール化されたIoT技術の開発が必要になってきます。
こうした状況は日本のデジタル・トリプレットでも同様であるといえましょう。
大企業に比べて資本力の弱い中小企業が多い日本であっても、情報世界と実世界をつなげる導入しやすいモジュール化されたIoT技術が不可欠といえましょう。

産学連携の推進

では、どうやったらモジュール化された技術が誕生するのでしょうか。
もちろんそれ単体で発明されることもありますし、IoT技術を推進する大企業の事例を分析し、モジュール化できる技術を取り出すという手法もあります。
いずれにせよ、まだまだIoT技術も新しい中で企業や大学が個別に研究するのではなく、産学連携して最先端の技術を育むことが大切です。
デジタル・トリプレットに使用できるような技術を生むため、産学連携を今後より推進させるだけでなく、産学をまとめるリーダーの誕生も今後期待されるところでしょう。

ナレッジ・マネジメントの浸透

以上「使いやすいIoT技術の誕生」「産学連携の推進」はインダストリー4.0とデジタル・トリプレットの共通した課題でしたが、人を中心に置くデジタル・トリプレットではさらなる課題があります。それはナレッジ・マネジメントの浸透です。
ナレッジ・マネジメントとは個人のもつ暗黙知を形式知に変換することにより、知識の共有化、明確化を図り、作業の効率化や新発見を容易にしようとする企業マネジメント上の手法のことです。
せっかくIoT技術を製造現場に導入しても、それだけではインダストリー4.0と変わりはありません。日本独自の現場の知恵を有効活用するためにも、現場の作業員が所有している暗黙知を形式化し、有効活用できる状態にしておくことが必要となるでしょう。

まとめ

今回はデジタル・トリプレットの内容を見てきました。
デジタル・トリプレットは「実世界」「情報世界」「知識・モデル世界」を融合させたもので、Society5.0を製造業で体現するものとして期待がかかっています。
日本版インダストリー4.0とも呼ばれることがありますが、ドイツのインダストリー4.0がIoT技術によって製造業の効率化・省エネルギー化・生産性向上を図るのに対して、デジタル・トリプレットは人の知的労働の支援に主眼が置かれています。
このデジタル・トリプレットが浸透していくためにはインダストリー4.0と同じく、中小企業でも導入できる程度に安価でモジュール化されたIoT技術の開発や産学連携の推進だけでなく、暗黙知を形式化するナレッジ・マネジメントの浸透が不可欠であると言えましょう。

参考

書籍

  • 岩本晃一『インダストリー4.0-ドイツ第4次産業革命が与えるインパクト-』日刊工業新聞社、2015年
  • 尾木蔵人『決定版 インダストリー4.0―第4次産業革命の全貌』東洋経済新報社、2015年

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