バートルテストとは何か?好きなゲームで社員の志向を把握する方法

2021年6月5日

バートルテストとは、ゲーム研究者であるリチャード・バートルが発案したテストで、プレイヤーの気質を「アチーバー」「エクスプローラー」「ソーシャライザー」「キラー」の4つのカテゴリーに分類するものです。
今回はこのバートルテストについて解説していきます。

好きなゲームは人によって違い、同じゲームでも感じ方は異なる

同じ「ゲームが好き」という趣味であっても、好きなゲームのタイプが異なることはよくあります。また、同じゲームを楽しんでいても「いち早くラスボスを倒したい!」と思う人もいれば、「じっくりアイテムを集めながら進めたい」という人もいます。

例えば一世を風靡したカプコンの「モンスターハンター」は人による楽しみ方の違いが顕著にみられるのではないでしょうか。
モンスターハンターは巨大なモンスターに対して、素材を収集しながら装備を整え、アイテムを駆使しながら狩りを楽しむゲームです。
その楽しみ方は人によって異なり、ひたすらモンスター狩りを楽しむ人もいれば、作成可能な装備をすべて作成しようと素材収集に明け暮れる人もいます。中には1人プレイで手ごわいモンスターを相手にする猛者までいます。

Richard Allan Bartle(リチャード・アラン・バートル)の写真(画像はWikiより)

このように、好きなゲームの種類は人によって違いますし、さらに同じゲームであっても楽しむポイントは異なってきます。
この人が持つゲームへの選好の違いに注目したのが、ゲーム研究者のリチャード・バートル(Richard Bartle)です。

バートルによるプレイヤーの分類

バートルテストによる4つの分類の画像
バートルテストによる4つの分類

バートルは「何と」「どのように」ゲームで遊びたいかによって、プレイヤーの気質を「アチーバー」「エクスプローラー」「ソーシャライザー」「キラー」の4つのカテゴリーに分類しました[1]深田浩嗣『ソーシャルゲームはなぜハマるのか』SBクリエイティブ、2011年、59頁。

「何と」というのはゲーム世界か、プレイヤーかで分けられます。ゲームの世界を探索したり、敵を倒すことが楽しいのか、それとも対戦格闘ゲームのように他のプレイヤーに打ち勝つことに喜びを感じるかに分かれます。
「どのように」とは、個人で楽しみたいのか、それともみんなで楽しみたいのかを意味します。同じRPGであっても、一人で楽しむものもあれば、オンラインで仲間を募りながら進めていくものもあります。
この2つの軸でバートルはプレイヤーの性質を紐解こうとしたのです。

プレイヤータイプの紹介

1.アチーバー(Achiever)

アチーバーのイメージ画像

アチーバーはゲーム世界を個人で楽しみたいというプレイヤータイプです。
レベル上げにまい進したり、ゲーム実績の解除で得られるトロフィーのコンプリートに励むのがこのアチーバーのタイプです。

こうしたアチーバータイプの社員に対しては、細かく目標を設定してあげると良いでしょう。
「次はこの資格をとってみよう」、「○○万円のプロジェクトに取り組んでみよう」というように、次のステップを明示することで、モチベーションを高めてあげることができます。

2.エクスプローラー(Explorer)

エクスプローラーのイメージ画像

エクスプローラーはゲーム内の世界で、その世界の登場人物やプレイヤーと関わり合いを持ちながらゲームを進めたいと思うプレイヤータイプです。
アチーバーに似ていますが、アチーバーが自らの強さを追い求めるのに対して、エクスプローラーは新しい世界の発見や新しい知識の獲得を喜びとします。

こうしたエクスプローラーは仕事においても新しい発見を求めたがります。ジョブローテーションや新しい企画にチャレンジさせることが、エクスプローラーのモチベーションになるといえましょう。

3.ソーシャライザー(Socilizer)

ソーシャライザーのイメージ画像

ソーシャライザーはプレイヤーと協力しながらゲームを進めたいというプレイヤータイプです。このプレイヤータイプにとってあくまでゲームは友達と遊ぶツールであり、ゲームの内容そのものよりも、友人やゲーム中で出会ったプレイヤーと協力して遊ぶことに楽しさを見出します。

こうしたソーシャライザーは、社内の人間関係の良さやプロジェクト中での連携を重視します。
ソーシャライザータイプのスタッフのモチベーションは、所属する部署やチームの人間関係に大きく左右されるので、配属先には十分気を付けていきましょう。

4.キラー(Killer)

キラーのイメージ画像

キラーはプレイヤーに対して個人として戦いを挑んでいくプレイヤータイプです。
対戦格闘ゲームを好むプレイヤーはこの典型といえましょう。彼らはゲームの内容を楽しむよりも、そのゲームを使って誰が強いかを証明しようとします。

キラータイプのスタッフが社内にいれば、成績評価を明らかにするだけでなく、対外的にもそのスタッフが優れていることを証明させることが大切です。
例えば、キラータイプのデザイナーがいれば、社内だけで評価するのではなく、社外のコンテストなどに参加させて、自らの位置を確認させると良いでしょう。

バートルテストが試せるWebサイト

以上、バートルが分類した4つのプレイヤーを見てきました。
この4つのプレイヤー像のうち、どのプレイヤーに一番近いかをテストするのが「バートルテスト」です。
これらの性質は人によって先天的に決められたものではなく、その人の状況によって表に出てくるプレイヤータイプは変わってきます。
現在自分がどのようなプレイヤータイプなのかは、下記のWebサイトでチェックすることができます。

あらだかノートさんのテストは4you2learn.comのテストを日本語化し、独自に調整してあります。
気軽にテストができるので、クラスメイトや自分の会社のスタッフとテストしてみても面白いかもしれませんね。

まとめ

バートルテストはゲームに対するプレイヤーの性質を分類したものですが、4つのプレイヤータイプはゲーム外であっても当てはまることが多々あります。
各プレイヤータイプに対して、新しく展開しようとしているマーケティング手法や社内制度がどのような効果をもたらすかを考えれば、それぞれの施策はより実りのあるものになるでしょう。

参考

1深田浩嗣『ソーシャルゲームはなぜハマるのか』SBクリエイティブ、2011年、59頁。