優れたビジョンを作成するのに必要な5つの要素

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ビジョンは不意に求められる

人生においてビジョンを考えるタイミングというのは不意に訪れます。
独立して会社を作った時や、プロジェクトでチームを任された時、ビジョンを定め、周囲と共有する必要がでてきます。
しかし、ビジョンを考える機会なんてそこまで多いわけではないので、いざビジョンを作ろうとしてもなかなか筆が進まないものです。
今回は優れたビジョンを作成する時に使える5つの要素をご紹介いたします。

ビジョンを考えるときに使用する5つの要素

優れたビジョンを作成するには、以下の5つの要素が含まれていることが望ましいとされています1)Scott Berkun (著)、村上 雅章 (訳)『アート・オブ・プロジェクトマネジメント ―マイクロソフトで培われた実践手法』オライリー・ジャパン、2006年、84~87頁。

優れたビジョンに必要な5つの要素
  1. シンプル
  2. 意図重視(目標駆動)
  3. 統合
  4. 閃き(明確な問題)
  5. 覚えやすい

ここからはこれら5つの要素を詳しく解説していきます。

シンプル

優れたビジョンはシンプルであることが求められます。
なぜなら、ビジョンというのは、見向きもしないような部屋の飾りつけではなく、会社として行動を移す時に適宜参照するような指針になるからです。
これは最後に紹介する「覚えやすい」にも通じるものがありますが、ながながとよくわからないことを並び立てても、行動の指針にならず、ひいては周囲の共感を得られるようなビジョンを作ることはできません。
例えばGoogleのビジョンは非常にシンプルです。

To provide access to the world’s information in one click
ワンクリックで世界の情報へのアクセスを提供すること

これがGoogleのビジョンです。
非常にシンプルでわかりやすく、覚えやすいものであります。
このように優れたビジョンである条件に「シンプルさ」というものが挙げられます。

意図重視(目標駆動)

意図重視あるいは、目標駆動であるというのはそのビジョンを見ただけで、意図が理解できるか、目標に対して動き出せるかということを意味しています。
先ほどのGoogleの例で言えば「ワンクリックで世界の情報へのアクセスを提供する」というビジョンを見れば、具体的にどのような行動をしなければならないのかが理解できます。
Google内のプログラマーはきっとできるだけユーザーがクリック数少なく、できる限りワンクリックで情報が引き出せるようなシステム開発に苦心しているはずです。
このように、優れたビジョンというのは、そのまま優れた目標となり、行動の指針となります。

統合

優れたビジョンに必要な「統合」という要素は、ビジョンは場当たり的な発想ではなく、調査や分析、戦略的計画が統合されたものでなければならないというものです。
ここではAmazonのビジョンを例にしてみましょう。Amazonのビジョンは以下のようなものです。

Our vision is to be earth’s most customer-centric company; to build a place where people can come to find and discover anything they might want to buy online.
地球上で最もお客様を大切にする企業であること、お客様がオンラインで求めるあらゆるものを探して発掘し、出来る限り低価格でご提供するよう努めること

Amazonのビジョンからは様々な情報が統合された跡が見えます。
例えば、「オンラインで求める」ということから、Amazonがオンラインでモノを購入するユーザーをターゲットにおいた企業であることがわかりますし、「できる限り低価格で」ということからAmazonが低価格戦略をとっていることの現れです。
今やAmazonを知らない人はいないので、わざわざこのような解説をしなくともビジョンを理解できるのですが、今はじめてAmazonを知った人でも、上記のAmazonのビジョンを見れば、何をしていて、どのような分析や戦略のもとでこのようなビジョンを立てているのかが察せられるかと思います。
同様にはじめてビジョンをみた人、とくに社員などの同じ組織の人が、ビジョンを見るだけで方針や戦略を察せられるよう、様々な情報が統合されていることが優れたビジョンの要素の一つです。
もしビジョンだけでは分析した情報や戦略を十分に伝えられないという場合には、別途補足資料を用意しておくのも良いかもしれません。

閃き(明らかな問題)

優れたビジョンに必要な「閃き」というのは、天才的な思い付きのことを意味しているのではなく、いいアイデアをひねり出そうと努力できる、誰もが感じ取れるような「明らかな問題」のことを意味しています。
Googleのビジョンの例で言えば、「ワンクリックで」という言葉の裏には、「現在は必要な情報を得るために何度もリンクをクリックしてページを確認しないといけない」という問題意識があります。
では、ワンクリックで世界の情報へアクセスするというのは、実際にはどうすればよいのでしょう。
Googleの社員たちは、このビジョンの達成に向けてアイデアを出し、日々の改善に取り組んでいます。
このように社員にアイデアを出させる余地を与え、閃きを引き出すことができるビジョンが、優れたビジョンであるということです。

覚えやすい

優れたビジョンの最後の要素として「覚えやすい」ということが挙げられます。
覚えやすいというのは、「興味をそそるような内容」であり、「共感を与える内容」である必要があります。
興味を引くために奇抜な表現を使うと、なかなか周囲に共感を与えられないですし、かといってあまり普通なことをいうだけでは興味を引くことができません。
「覚えやすい」というのは簡単なようで難しい要素ですが、組織内で検討しながら、内容を詰めていく必要があります。

まとめ

今回は優れたビジョンを作成するために不可欠な5つの要素を紹介していきました。
優れたビジョンはシンプルであり、意図重視であり、分析された情報や戦略が統合されたものであり、閃きを促すような明確な問題意識があり、覚えやすいものである必要があります。
ビジョンを作成する際は、これら5つの要素に気を付けていってみてください。

References   [ + ]

1. Scott Berkun (著)、村上 雅章 (訳)『アート・オブ・プロジェクトマネジメント ―マイクロソフトで培われた実践手法』オライリー・ジャパン、2006年、84~87頁。