キャプテンシーとは何か?リーダーシップとの違いを含めて解説

2022年4月20日

今回の内容は動画でも解説していますので、ぜひご覧ください。

キャプテンシーとは何か?

キャプテンシーとは最近リーダーシップと並んで耳にするようになった言葉です。

コトバンクには以下のように説明されています。

キャプテンとしてチームを統率する力。指導力。

引用:キャプテンシーとは – コトバンク

しかし「わかるようでわからない」というのが正直なところではないでしょうか。リーダーとしての統率力でいえば、「リーダーシップ」という言葉がありますが、それとどのような違いがあるのでしょうか。

今回はキャプテンシーの内容をみていきながら、リーダーシップとの違いも概観し、キャプテンシーとは「部隊やチームを任された役職者がそれらの集団を統率していく力」だということをお話ししていきたいと思います。

キャプテンとキャプテンシーという言葉

キャプテンとは何か

コトバンクでは「キャプテンとしてチームを統率する力」とありますが、キャプテンとはそもそも何なのでしょうか。
Wikipediaより引用すると

・軍隊などの階級の1つ。
・ある種の移動媒体において、あらゆる営みを統括する長。
・スポーツなどのチームにおけるリーダー役のこと。

引用:キャプテン – Wikipedia

こうしてキャプテンの意味を概観してみると、どれも高い役職を意味しながらも、最高権力者ではないことがわかります。
上記のWikipediaでは「海軍・アメリカ沿岸警備隊では大佐」、「陸軍・空軍・アメリカ海兵隊では大尉」と紹介されていますが、どれも高い地位でありながら、大将などの最高権威ではありません。
しかし、現場で意思決定をするのはキャプテンの仕事です。
ある部隊・あるチームの中の最高権力者・意思決定者と言ったところでしょう。

植民地統治制度というキャプテンシー(Captaincy)の本来の意味

海外のWikiでCaptaincyと調べると、下記のように説明されています。

Captaincy(スペイン語:capitania[kapitani.a]、ポルトガル語:capitania [k?pit?ni.?]、クロアチア語:kapetanija)は、元スペイン・ポルトガル領の植民地時代の帝国の歴史的管理部門です。 それは組織の方法として制定され、中世の封建政府の内政自治と直接関係しており、主権者はそのものの信任の下、管理していた植民地領土を統治した。

引用:Captaincy – Wikipedia

和訳はこちらでしたものですが、ここからわかるように、キャプテンシーの本来の意味とは植民地統治の制度だったようです。

植民地を支配するときには、植民地の住民からの反乱をおさえるためにも、軍人が統治者になることが多くありました。これまで見てきたように、キャプテンというのは軍人の階級のことですが、ここから軍人による植民地支配の方法をキャプテンシーと呼んだのですね。

このキャプテンシーという言葉が月日を経てやや意味がマイルドになり、「キャプテンとしてチームを統率する力」となったようです。

キャプテンシーとリーダーシップの違い

では日常的に使われるリーダーシップと、キャプテンシーとの違いは何なのでしょうか
まずはリーダーシップの定義について確認してみましょう。

集団の目標や内部の構造の維持のため,成員が自発的に集団活動に参与し,これらを達成するように導いていくための機能。

―ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

集団になんらかの目標を設定し,集団を統率しつつ,その課題を遂行・先導する能力やその過程。

―百科事典マイペディア

参照:リーダーシップとは – コトバンク

このようにリーダーシップというのは、所属する集団のために、目標を設定したりしながら、所属集団を統率したり、導いたりする力です。

リーダーシップは「リーダー」という言葉が入っているため、リーダーを任された人の統率力を指しているというイメージがあります。

しかし、リーダーシップについての名著『書店員が教えてくれた人生で最も大切なこと』の原題が"The Leader Who Had No Title"、直訳すれば「肩書のないリーダー」であるように、リーダーシップというのは肩書や役職がある人に限らず、人を導いていく力を意味しています

つまり、キャプテンシーとリーダーシップとの大きな違いはこの部分で、キャプテンシーはキャプテンの役割を担った人物が人を統率していく力で、リーダーシップには肩書はいりません

こうしたことからも、キャプテンシーは植民地時代の統治制度をまだ引きずっているように思えます。リーダーシップというのはフラットな関係性の中で使用されますが、キャプテンシーが使われる場面というのは、完全にデモクラティックな組織ではなく、キャプテンに大きな権限がある世界で使用されるように思えます。

まとめ

今回はキャプテンシーについて見てきました。
キャプテンシーとはもともと植民地支配の制度でしたが、現代では部隊やチームを任されたキャプテンがそれらの集団を統率していく力を意味しています。
リーダーシップとの違いは肩書が必要か否かという部分で、リーダーシップには肩書や役職は不要ですが、キャプテンシーは肩書や役職のある人の統率力です。

このようなことからキャプテンシーとは「部隊やチームを任された役職者がそれらの集団を統率していく力」だと言えるのではないでしょうか。